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豊穣の祭り:Matari’i i ni’a(マタリイ・イ・ニア)2025、ポリネシアで新たに祝日へ
ポリネシア仏領では、豊穣と恵みの季節の到来を祝う Matari’i i ni’a(マタリイ・イ・ニア) が、2025年から正式に祝日となりました。
11月20日がその記念すべき日として制定され、古来の天文学的・文化的節目が現代のカレンダーに刻まれることになります。
これは、南天に再びプレアデス(Matari’i)が姿を現し、繁栄の季節が戻ることを告げる伝統に基づくものです。
この祝日の制定は、文化担当相でもあった副大統領エリアン・テヴァヒトゥア氏の主導により実現しました。
ポリネシア政府のこうした取り組みには、伝統的な暦の復興と、フェヌア(祖国)ならではの文化的アイデンティティをより強く確立する狙いがあります。
「Matari’i i ni’a は、自然・海・大地、そしてコミュニティとのつながりを思い出させてくれる」と彼女は語り、CAPF(ポリネシア芸術 Conservatoire)や各自治体の協力を称えています。

花で彩られるパペーテ:首都が巨大な祝祭空間に
パペーテの海沿いには華やかな花飾りのフロートが並び、街全体が色彩豊かな文化絵巻へと変貌します。
衣装、オレロ(伝統詩)、歌、マアア・タヒチ(伝統料理)のふるまいが一日を通して行われ、Heiva の舞踏団や文化団体が活気を添えます。
このにぎやかな祭りは、2025年の Heiva i Tahiti の連帯感と喜びを思い起こさせ、Matari’i i ni’a がフェヌアの大きな祝祭サイクルの一部として定着したことを象徴します。
タウティラ:始まりの地でよみがえる精神性
島の南に位置するタウティラでは、より静かで象徴的な文化儀式が行われます。1990年代に Matari’i i ni’a の復興を牽引した Haururu 協会が、プレアデスの天文文化や古代農耕の知恵を学ぶワークショップを開催。
夜明けとともに人々が集い、天と大地の調和を祝います。
Tahiti Tourisme もこの文化価値の発信を支援し、国内外の来訪者に向けて魅力を伝えています。
プレアデスのもとで、空の意味を取り戻す
Matari’i i ni’a は天文現象に根ざした文化行事であり、星の運行と自然の営みを結びつける重要な時期です。
マオリ研究者ランギアネフ・マタームア氏によれば、これはニュージーランドの Matariki ともつながるポリネシア共通の天空文化の一部です。
科学と精神性が重なり合うこの季節には、祖先とのつながりや自然への感謝といった価値観が色濃く宿ります。

伝統が歴史になる瞬間
祝日制定は、ポリネシアの無形文化遺産の価値を再認識する流れの中にあります。
言語、聖地、古代の知恵を守り継ぐ取り組みが進む中、ライアテア島の聖地タプタプアテアのマラエは、空・海・太平洋の人々を結ぶ象徴として今もその存在感を放っています。
Matari’i i ni’a が正式な祝日となったことで、ポリネシアは過去と現在を結ぶ文化の連続性を力強く示しました。
若いオレロの語り手、花をまとったフロート、星空を見上げるまなざし──そのすべてが、人・自然・時のつながりを祝うこの伝統の精神を未来へと受け継いでいきます。
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